代理店戦略=再考1=
7. [実践編 その4]本社と現場の役割分担、連携・連動は明確ですか?

2019.09.12

前回のコラムでは、代理店の機能評価をおこない、特性ごとのグループに分けた後、基本方針を立てることについて解説しました。自社によって有意な代理店を如何にして選別するかが鍵となります。今回は、代理店との取り組みを深めるために必要な要素を洗い出し、自社をライバル企業との比較において代理店の視点から評価してみたいと思います。

■代理店が企業に求めるもの

代理店は自社も含めた企業から製品やサービスを仕入れ、それを顧客に再販売する

前回のコラムでは、代理店のグループ別に支援策をメニュー化し、実行体制を整えることの重要性について説明してきました。支援策が有効に実行されているかどうかのマネジメント機能と、円滑に実行され成果を生み出すことができるサポート機能が整えられて初めて戦略と支援策、活動が一貫性を持つことができます。今回は、戦略・支援策の実行とそのマネジメントについての本社と現場の役割分担と連動・連携について考えてみたいと思います。

■代理店に一番近い現場ですべきこと

まずは代理店に関する情報を収集することが第一歩となります。代理店に対する支援策の実行にあたり、その代理店が今どのような状況にあるのかを知らなければ、どこに課題があり、どのような処方箋を作ればよいのか、有効な支援策の実行手順とタイミングなどがわかりません。

そして代理店の状況がわかったら、具体的な目標設定と成果の評価方法・指標・基準を設定します。目標については、数字的なものと機能的なものとがあります。数字的なものとしては、年間の「販売金額」や「販売数量」「取り引き/開拓顧客数」などがあります。また機能的なものとしては、「需要情報収集機能」や「営業・販売機能」「技術・サービス機能」「物流機能」などがあります。これらの項目について具体的な年間の達成目標を設定し、どのように達成/未達成を測るのか、そして達成するための企業と代理店の役割を明確にすることが肝要です。

これらの目標に対してその進捗状況を把握し、目標達成までの道筋を徹底するための合同戦略会議を開催することも有効です。企業と代理店が同じ目標に向かって一緒に活動をすることの実践と検証の場として使うことができます。キーワードとしては「見える化」と「徹底化」です。

  「見える化」の項目例
    1.達成目標(数字的/機能的)
    2.活動計画(年間を通してのアクションプラン)
    3.活動状況(活動内容とその結果)
    4.因果関係(どのような活動をすると結果はどうなるのか)
    5.達成可能性(地域別/顧客別/製品・サービス別の拡販余地)

  「徹底化」の項目例
    1.計画に対する進捗状況(今、計画のどの辺りにいるのか)
    2.最後までやりきる(どのようにすればできるのかを考える)
    3.できないことの原因究明(なぜできないのかを徹底解明)
    4.成果の出る活動をしているか(成果が出なければ単なる無駄遣い)
    5.活動は全て計画的に(週・月・四半期・半期・年間での計画的な活動)

■本社ですべきこと

本社の役割としては、全体(基本)戦略の立案と実行の支援体制整備、実行結果のレビューとなります。全体(基本)戦略の立案については前回のコラムで触れましたので、ここでは割愛をします。

実行の支援体制は、あくまでも現場基点で整備することがポイントになります。よく見られる事象としては、会社が用意した支援策を実行しようとしても、そのやり方がわからなかったり、本社の支援がなければならないにもかかわらずどの部署・人に対して支援を要請すればよいのかわからなかったりします。これでは、いくら有効な支援策を用意したとしても実行できずに成果が出ないものとなってしまいます。

このような事を防ぐ手立てとして、本社内に「社内ヘルプデスク」を設置する方法があります。現場の課題についての相談・支援依頼窓口としての役割を持たせ、支援策を確実に実行するための一次引き受け元となります。そのためにはこの「社内ヘルプデスク」は社内のあらゆる部署の役割と機能を把握し、組織として有効に機能するための取りまとめができる役割と人材が求められます。

そして、年間を通してのレビューとなります。全体(基本)戦略の実現度・達成度はどうであったか、何ができて何ができなかったか、その原因は何かといった評価です。このレビューは、期初にしっかりとした戦略と計画が組まれて初めて可能となります。計画されていないものはレビューできません。また、レビューがされなければ翌期の戦略・計画も組むことができません。意外とこのあたりがあいまいにされているケースも見受けられます。

■組織としての対応

代理店との協働は現場だけでは実現しません。ここで協働化に向けてのキーワードを現場と本社といった切り口と違う側面から二つ提示したいと思います。

一つは「機能別アテンド」です。企業と代理店のそれぞれの機能の責任者と実務担当者が密接なコミュニケーションを取り、目標達成に向けて協力体制をとるということです。具体的には、営業部門、技術・サービス部門、物流部門、人材育成部門などごとに常に目標達成に向けての現状と課題、解決策を考え実行していくということです。

二つ目は「層別アテンド」です。企業と代理店のそれぞれの階層ごとにコミュニケーションを取り、目標達成に向けての協力をおこないます。経営幹部、実務責任者、実務担当者など各階層ごとに達成目標をダウンサイジングしながら共有し、達成に向けて活動をしていくことです。

ここまでは、「仕組み」について考えてきましたが、次回は戦略の実行と目標の達成に向けて不可欠な「人の育成」について考えてみたいと思います。

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プロフィール

清水 徹

清水 徹(しみず とおる)

株式会社 マーケティング研究協会 コンサルティング・ サービス部部長

大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「販売代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「メーカー営業担当者のスキルアップ教育」「代理店経営者・経営後継者・営業担当者教育」などの実績がある。

【主な支援実績テーマ/業界】
○チャネル政策立案・展開(コンサルティング/教育)
オフィス設備、OA機器、医療材料、産業資材、建築材料、建築設備、計測装置、工業用部品、など

○エリアマーケティング戦略立案・展開(コンサルティング/教育)
建築設備、建築材料、情報関連機器、OA機器、化学品、エネルギー、搬送機器、ソフトウエア、など

○提案営業力強化(教育)
自動車関連部品、医療機器、建築設備、出版、情報システム、生産機械、産業用ガス、など

○営業マニュアル/営業ツール作成
業務用化粧品、OA機器、情報関連機器、など

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