代理店戦略=再考2=
1. 販売チャネルの一つである「代理店」の存在意義を考える

2019.09.14

1.顧客(購買者)からみた"買い場"が販売チャネル

従来の販売チャネルは、製品・サービスの提供者(売り手)が購買者(買い手)にその製品・サービスを"流す"ためのルートでした。この"流す"という言葉は提供者が川上、購買者が川下という発想であり、製品・サービスを出発点として戦略を立てる際のベースとなるものです。
しかしながら市場環境が変化し購買者の情報力が提供者の情報力を超える状況が増えてくると、購買に至るプロセスの多くを購買者側で行うため購買プロセスが先に存在することになり、製品・サービスの流通はその"結果"と捉える必要があります。このことは購買者基点で考えることの重要性を示唆するものです。購買者の購買プロセスを軸に、"買い場"をどこに、どのように設けるかが提供者のチャネル戦略の要諦となってきたことを意味しています。

2.提供者から見た販売チャネルの類型

類型には2種類の分類方法が考えられます。
1つ目は「販売チャネルの保有機能の数」×「販売チャネルの取扱製品群の種類」で分類する方法。2つ目は「製品に対する顧客の購買関与度」×「販売チャネルの取扱製品群の幅」です。
1つ目の分類方法は、販売チャネルが顧客(購買者)に提供する価値の幅を捉えた分類方法と言えます。2つ目の分類方法は、販売チャネルの顧客(購買者)の購買行動への関わり方を捉えた分類方法となります。
厳密に言えばすべての業界の販売チャネルがこの分類に当てはまるとは言い難いですが、多くの業界では活用できる分類方法です。購買者の購買行動(プロセス)の変化をはじめとした様々な環境変化を考えると、いずれの分類方法においても販売チャネルのポジショニングを変化させる必要が生じる可能性があり、おのずと営業・販売活動も変わらざるをえないと考えられます。
ポジショニングごとに販売チャネルの特性・戦略課題があり、提供者としての基本政策も存在します。これからは購買者を基点として、販売チャネルのポジショニングと営業・販売活動を再考する必要があることがわかります。

3.新たな販売チャネル「購買代行」「集中購買」サービス

昨今、大企業における間接材(事務用品、工具、理化学用品、など)の購買を中心として購買マーケットプレイスが増えてきています。これは提供者と購買者を結びつける新たな販売チャネルです。
 購買者は購買にかかるコスト(プロセスコストを含む)を極力低減したいと考えてこのシステムを導入するため、今後も拡大を続けることが予想されます。したがって、提供者としてこの購買マーケットプレイスに参加するか否かが大きな課題になりつつあると同時に、従来型の代理店の意味合い(役割と機能)を再考せざるをえないと言えます。

4.これから求められる代理店の姿

このような市場環境の中で、従来から脈々を築きあげてきた"代理店"の存在意義を大きく見直すタイミングに今まさに来ていると考えます。業界によっては遅いくらいですが、絶えず先を見てその存在意義を提供者・購買者の両面から考え直す必要があることはご理解いただけると思います。
私は常々、これからの"代理店"に求められることとして「製品・サービスの価値を購買者に正しく伝え、購買者の購買意思決定を適切に誘導する」ことと考え、発信をしてきました。これは、代理店の存在意義の転換を意味しています。
こういったことから、これからの代理店は、提供者基点の単なる「販売代理業」であると同時に購買者基点の「購買代理業」という存在であるべきであり、その結果として営業・販売活動のありかたも再考する必要があると考えられます。

次回以降で、これからの代理店の存在意義や役割・機能、営業・販売活動のあり方について考えていきます。

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プロフィール

清水 徹

清水 徹(しみず とおる)

株式会社 マーケティング研究協会 コンサルティング・ サービス部部長

大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「販売代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「メーカー営業担当者のスキルアップ教育」「代理店経営者・経営後継者・営業担当者教育」などの実績がある。

【主な支援実績テーマ/業界】
○チャネル政策立案・展開(コンサルティング/教育)
オフィス設備、OA機器、医療材料、産業資材、建築材料、建築設備、計測装置、工業用部品、など

○エリアマーケティング戦略立案・展開(コンサルティング/教育)
建築設備、建築材料、情報関連機器、OA機器、化学品、エネルギー、搬送機器、ソフトウエア、など

○提案営業力強化(教育)
自動車関連部品、医療機器、建築設備、出版、情報システム、生産機械、産業用ガス、など

○営業マニュアル/営業ツール作成
業務用化粧品、OA機器、情報関連機器、など

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