代理店戦略=再考2=
5. 代理店の営業力・販売力を高めるメーカー営業担当者の4つの活動「その1 商品勉強会」

2019.09.15

1.勉強するのは商品知識だけではない

提供者(メーカー)の営業担当者が代理店に対して行なう活動の1つとして、「商品勉強会」があります。新商品やその年の重点拡販商品の知識を覚えてもらい、売ってもらうためにおこないます。勉強会の一般的な進め方(流れ)として、

   1)提供者(メーカー)の技術・商品担当スタッフが勉強会用資料を作成する
   2)その資料を使って自社営業担当者に勉強会をおこなう
   3)営業担当者が、自身が担当する代理店に出向いて勉強会をおこなう

という手順があります。

1)の手順で作成される資料の多くが「製品特徴」と「技術関連知識」から構成されています。本社の技術・商品担当スタッフが作成する資料ですから、商品中心の資料になります。この資料を使って自社営業担当者→代理店営業担当者と伝言ゲームのように勉強会が行われます。

ここでの一番の問題が、1)作成された資料をそのまま3)の場面でも使われることです。営業の場面で必要となる商品知識は、1)の資料では足りない要素が多くあります。ここでは私がお勧めしている勉強会に必要な10の要素をご紹介します。

   1) 商品価値=売り手視点から見た商品価値(セリングポイント)
   2) 商品価値=顧客視点から見た商品価値(バイイングポイント)
   3) 使い方知識=どう使えばどのような利用価値を生み出すか
   4) 市場関連知識=市場ターゲット、需要の量と質、普及状況、地域差
   5) 技術関連知識=技術特性/材質/仕様/製法/他社商品との比較
   6) 生産・物流知識=生産物流拠点/納期/受注単位/特注ルール
   7) 顧客知識=ユーザーの特徴/ニーズ/購買行動特性
   8) マーケティング知識=顧客/販売戦略/価格戦略/販促計画/流通戦略
   9) セールススキル=対象別価値訴求話法/提案営業スキル/購買代理能力
   10) エリア別対策=エリア特性/エリア潜在需要量/エリア別売り方の工夫

営業現場で購買者(顧客)と相対した時、これらの情報や知識がなければ訴求力の高い提案活動ができません。代理店の営業担当者が売りやすい知識や情報は何か?その知識や情報をどのような購買者(顧客)に、どのように使って、何を訴求(バイイングポイント)すれば売れるのか?を突き詰めていくと、前述10の要素が必要となってきます。

提供者(メーカー)の営業担当者が、この10の要素すべてを揃えて資料を作成するのは時間的・物理的に無理がありますので、各エリアに資料作成のスタッフを置いている企業もあります。

2.そもそも顧客(ユーザー)はなぜその商品を購買するのかから考える

前項10の要素が必要な理由は、売り手(代理店の営業担当者)に売るための知識や情報を提供するということだけでなく、購買者(顧客:ユーザー)の商品購買の原則にも合致しているからです。

そもそも購買者はなぜ商品を購買するのでしょうか?

購買者は、「商品・サービスが自社にもたらすベネフィット(便益)が必要」だから商品を購買します。そのため、営業活動の原則としては、「商品が購買者に与えるベネフィット」を効果的に伝えることになります。

ですので、

 ・購買者が置かれている状況とそこから出てくるニーズは何であるか?
 ・そのニーズに対して商品はどのように役に立つのか?
 ・その商品を購買することによって購買者にどのような良い事(=ベネフィット)があるのか?
 ・そもそもその商品にベネフィットを感じる購買者はどのような企業なのか?
 ・具体的にどのような商談やセールストークで提案をすればよいのか?

などをしっかりと整理し、勉強会で伝えなければ代理店の営業担当者は売ってくれません。

3.商品勉強会の望ましい組み立て

では、代理店の営業担当者が売ってくれる(行動を起こしてもらえる)商品勉強会の組み立てとはどのようなものでしょうか。

前述10の要素含め、おおまかなプログラムとしては以下のようになります。

 ■1■商品知識
   1)開発背景
   2)商品特徴、など
   3)主要ターゲット(業種、部門、用途、など)
   4)セールストーク(バイイングポイント)

 ■2■実習
   1)アプローチリストの作成
   2)実際の購買者(顧客)を想定したセールストークづくり
   3)活動計画の作成

「1)商品知識」も大切ですが、最大のポイントは「2)実習」になります。この実習をおこなうことによって、代理店の営業担当者は明日から行動に起こすことができます。また、提供者(メーカー)の営業担当者は代理店の抱える顧客を知ることができ、あわせて代理店の営業担当者のスキルレベルを図ることが可能となります。

以上のように、商品勉強会は単なる「商品知識の勉強」ではなく、「行動に繋がる売り方」まで含めて組み立てることが効果的です。

次回は『代理店の営業力・販売力を高めるメーカー営業担当者の4つの活動』のその2「同行営業」について、その目的と理想的な方法をご紹介します。

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プロフィール

清水 徹

清水 徹(しみず とおる)

株式会社 マーケティング研究協会 コンサルティング・ サービス部部長

大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「販売代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「メーカー営業担当者のスキルアップ教育」「代理店経営者・経営後継者・営業担当者教育」などの実績がある。

【主な支援実績テーマ/業界】
○チャネル政策立案・展開(コンサルティング/教育)
オフィス設備、OA機器、医療材料、産業資材、建築材料、建築設備、計測装置、工業用部品、など

○エリアマーケティング戦略立案・展開(コンサルティング/教育)
建築設備、建築材料、情報関連機器、OA機器、化学品、エネルギー、搬送機器、ソフトウエア、など

○提案営業力強化(教育)
自動車関連部品、医療機器、建築設備、出版、情報システム、生産機械、産業用ガス、など

○営業マニュアル/営業ツール作成
業務用化粧品、OA機器、情報関連機器、など

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