代理店戦略=再考2=
6. 代理店の営業力・販売力を高めるメーカー営業担当者の4つの活動「その2 同行営業」

2019.09.15

1.同行営業の目的とは?

メーカー営業担当者が代理店の営業担当者と顧客へ同行することは、日常的に多く、「○○という顧客に同行してほしい」という連絡を受けて出かけることが大半かと思います。その際すぐに同行するのではなく、何をするために同行するのかを一度冷静に考えて見る必要があります。
中には、本来代理店営業担当者がすべきことを肩代わりするだけの同行になっているケースも多々見受けられます。肩代わりすることすべてがいけないということではありませんが、これではそもそも提供者(メーカー)として代理店を使っていることの意味がありません。肩代わりするくらいなら直販をしてしまったほうが効率は良いですし、粗利も稼げます。

そこで、私は同行営業の主な目的として以下の4つがあると考えています。

1)先端市場、顧客を知る
代理店経由のビジネスをしていると、どうしても市場や顧客との距離が遠くなりその状況や変化に疎くなってしまいがちです。定期的に、意図的に情報収集することを目的とした同行営業が効果的です。

2)代理店の内部事情を知る
同行をするということは少なからず代理店営業担当者と行動を共にするということですから、代理店内部の情報を得ることもできます。方針や戦略の変化、組織体制の変更や人事異動、人間関係、なかには権力闘争などもあったりします。代理店を効果的に稼働させるためにも、内部事情を知っておく必要があります。

3)代理店の営業担当者を育成する
いわゆる"OJT"というものです。代理店営業担当者がどのような営業活動をおこなっているのか?顧客とのコミュニケーションは良いか?商談スキルはどうか?といったことを把握しつつ、戦力化するためのトレーニングの場とするものです。
"自分の分身"を育成することにつながります。

4)代理店の営業担当者と人間関係を構築する
代理店営業担当者の"マインドシェア"を上げるということです。
何かあったら一番に声をかけてもらえる、競合メーカーに先んじて情報をくれる、といったように頼りにされる人間関係を作ることも同行営業の大切な目的となります。

2.同行営業7つのチェックポイント

そこで、同行営業をおこなう上で最低限必要なチェックポイントをここでご紹介します。これらのチェックポイントを意図的に設定することで、身代わり営業にならず効果的な同行営業ができるようになります。

1)同行営業の目的は明確になっている
2)同行営業のターゲット(訪問先)は戦略的観点から設定されている
3)代理店のトップ層とコミットできている
4)営業担当者との事前打ち合わせはできている
5)同行後の振り返りはなされている
6)収集した情報の整理と分析はできている
7)分析結果から問題の発見と解決提案をしている

お分かりのように、同行営業にも"PDCA"サイクルを適用しようということです。その中でも「3) 代理店のトップ層とコミットできている」が一番重要であると私は考えています。
代理店の経営者や営業責任者と、目的や訪問先をしっかりとニギることによって、その後の振り返りや次への展開(「7) 分析結果から問題の発見と解決提案をしている」)につながります。

3.理想的な同行営業のプロセス〜疎かにしがちな同行営業のbeforeとafter〜

同行営業というと、実際に同行した時に何をするべきかということがクローズアップされがちですが、重要なのは同行のbeforeとafterであると私は考えています。前述のチェックポイントの1)〜4)がbefore、5)〜7)がafterとなります。

そもそも何のために同行するのか(1)が設定され、その目的に合わせた訪問先を設定し(2)、それを代理店の経営者もしくは営業責任者とニギり(3)、同行する営業担当者と訪問先顧客の状況や同行のゴール、商談の進め方、双方の役割分担などについてしっかりと共通理解をとっておく(4)ことが同行営業のbeforeでやるべきこととなります。

そして同行後に、事前に設定したゴールは達成できたのか、訪問先顧客の反応はどうだったか、次に何をするべきかといったことを振り返り(5)、同行で得られた情報を整理しながら次の対策を立て(6)、代理店経営者もしくは営業責任者への報告とともに次の同行営業や施策につなげる(7)ことが同行営業のafterでやるべきことになります。

このような一連のPDCAをしっかりと回すことができていれば、代理店担当者の育成も進みますし、代理店経営者・営業責任者からの信頼も獲得することができます。

以上のことから、同行営業にもPDCAサイクルを働かせ、そのサイクルに代理店経営者・営業責任者を巻き込んでいくことが成功のポイントになります。

次回は『代理店の営業力・販売力を高めるメーカー営業担当者の4つの活動』のその3「戦略会議」について、その目的と方法をご紹介します。

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プロフィール

清水 徹

清水 徹(しみず とおる)

株式会社 マーケティング研究協会 コンサルティング・ サービス部部長

大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「販売代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「メーカー営業担当者のスキルアップ教育」「代理店経営者・経営後継者・営業担当者教育」などの実績がある。

【主な支援実績テーマ/業界】
○チャネル政策立案・展開(コンサルティング/教育)
オフィス設備、OA機器、医療材料、産業資材、建築材料、建築設備、計測装置、工業用部品、など

○エリアマーケティング戦略立案・展開(コンサルティング/教育)
建築設備、建築材料、情報関連機器、OA機器、化学品、エネルギー、搬送機器、ソフトウエア、など

○提案営業力強化(教育)
自動車関連部品、医療機器、建築設備、出版、情報システム、生産機械、産業用ガス、など

○営業マニュアル/営業ツール作成
業務用化粧品、OA機器、情報関連機器、など

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