代理店戦略=再考2=
8. 代理店の営業力・販売力を高めるメーカー営業担当者の4つの活動「その4 経営者・営業責任者とのコミュニケーション」

2019.09.15

1.経営者・営業責任者から頼りにされるメーカー営業担当者の条件

「ウチの営業担当者は、代理店の経営者と話ができなくて。。。」といった話をよく耳にします。
特に若手であれば、代理店の経営者は自分の親ほどの年齢の方が多いですから、コミュニケーションを取りにくいのはわかります。
しかしながら、仕事でのコミュニケーションが求められているのですから、そこは少し考える必要があります。

そこで視点として持っておきたいことは、どのようなメーカー営業担当者を頼りにしているのかといったことです。ビジネスをおこなう上で、頼りにされるメーカー営業の姿を私は次の4つと考えていますのでご紹介します。

1)全体を語ることができる
自社製品だけでなく、関連する製品分野全体に視点を置き代理店の事業にどのように貢献できるかを常に考えているメーカー営業担当者は信頼されやすくなります。また、競合の動きなどの情報をよく知っていることも大切です。

2)よき相談相手になることができる
特に経営者となれば孤独ですし、相談ができる人は限られています。ですので、相談相手になれるだけの独自情報を持っていたり、経営者の要望に対して社内の資源を上手に使って返答をしたりすることで信頼度は高まります。
また、経営者や営業責任者といった立場が違うと欲しい情報が異なることも理解する必要があります。経営者・営業責任者からの要望に対するレスポンスの速さも大切です。

3)接点の拡大を図ることができる
単なる製品の取引ではなく、中期的な視点でいかにしてビジネスをおこなうか?どのようにしたらWIN-WINのビジネスがおこなえるか?といった観点の提案・商談ができることが必要です。
その際、メーカー営業担当者だけでなく、その上司や製品開発担当者、販促・宣伝担当者も巻き込みメーカー全体で接点を持つことが重要です。

4)必要情報の提供とタイミングがわかる
情報提供の大切さが言われていますが、その情報は鮮度が命です。経営者・営業責任者の興味や関心事に合わせて、欲しい情報を欲しい時期・タイミングに提供することが大切です。

2.「会いたい!」と思わせるために〜メーカー営業担当者が考えるべき3つのこと〜

前項で頼りにされるメーカー営業担当者の姿をご紹介しましたが、これらだけでは代理店経営者に頼りにされたとしても、営業力・販売力が高まるとは限りません。あくまでも必要条件であり十分条件ではないということです。
では、代理店の営業力・販売力を高めるために他に必要なことはどのようなことでしょうか。前述の"頼りにされるメーカー営業担当者の姿"も含めて整理してみたいと思います。

1)購買者(顧客)が代理店に期待することを理解する
ビジネスで代理店に貢献するためには、まず代理店が購買者(顧客)からの支持を得るためにはどうしたらよいか?を考える必要があります。言い換えると、購買者(顧客)は代理店に何を期待しているかといったことです。この視点がかけているメーカー営業担当者が多く見受けられます。
 ⇒『代理店が購買者(顧客)からの支持を獲得するためにはどうしたら良いか?』

2)代理店に頼りにされるメーカー営業の条件を理解する
前項でご紹介した4つの条件になります。
 ⇒『自社が代理店からの支持を獲得するためにはどうしたらよいか?』

3)代理店の経営者、営業責任者、営業担当者の興味・関心ごとを理解する
まずは、メーカー各社の中で自社がファーストチョイスになることが重要です。 そのためにも、代理店の経営者や営業責任者、営業担当者がどのような興味・関心事を持っているのか、それにどのように答えられるかがポイントになります。案件をいの一番に相談してもらえる、先行情報を提供してもらえる関係づくりが大切です。
⇒『自社が関与者からの支持を獲得するためにはどうしたらよいか?』

以上の3つの点を理解し、そして行動に移すことが代理店からの信頼を獲得し、自社製品の拡販につながります。
代理店にとっても自社のビジネスに不可欠なメーカーであればその信頼度はグッと高まりますし、代理店の営業力・販売力が高まれば代理店の収益も向上していきます。
そしてメーカーとしては代理店との信頼関係にもとづいて自社製品を拡販してもらうことによって、メーカーの収益も向上していきます。

3.「協働目標」を設定することにより理解・納得・協力を引き出す

代理店の経営者・営業責任者とのコミュニケーションを取るためには、"取らなければならない状況"を作り出すことが大切です。そのためには、年間の「協働目標」を立て、相互チェックをおこなう場を作ることが有効です。「協働」とは"協力して働く"という意味で、メーカー、代理店双方の役割をしっかりと認識し行動することです。

では、協働目標に必要な要素とはどのようなものでしょうか。私は、ロジカルな目標設定と、実現に向けての効果的な対策だと考えています。それは、「1.裏づけ」「2.ギャップ・差異」「3.対策・施策・支援策」です。
目標を設定する際、その目標の裏付けがしっかりと明示されているかどうかが重要なポイントです。メーカーからの押し付けの目標設定ではなく、両者で納得の上決定することが望ましいと考えています。

そのためには、
1)地域需要見通しや代理店経営計画・能力、メーカーの年度期待を明確にする
2)新製品発売など、年間の増販の可能性を一緒に検討する
3)購買者(顧客)から見た「代理店のかけがえの無い強み(利用価値)」を明確にする
ことが大切であり、これらをもとに目標を設定することがポイントです。

そして、販売目標を"需要獲得目標"として捉え、地域の購買者(顧客)のうちどれだけの購買者にその価値を理解してもらい満足してもらえるかといった、視点を変えた議論も有効です。
また、対策・施策・支援策は、メーカーと代理店の役割分担にもとづく組織的な活動として、"協働"できるものにすることが実効性を高めることになります。

これらの要素を含めて「協働目標」を設定し、PDCAを回しながら常に相互チェックをおこないます。この相互チェックをおこなうことが、「経営者・営業責任者とのコミュニケーション」の内容となります。

以上のことから、代理店の経営者・営業責任者とのコミュニケーションは「協働目標」を設定することを前提とし、そのPDCAを回すことこそがコミュニケーションであるとご紹介しました。

次回は本コラムの最終回となります。これまでご紹介してきた代理店チャネルの営業力・販売力を高めるために必要なことを行動に移すことができる『メーカー営業担当者の育成の仕方』について考えてみたいと思います。

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プロフィール

清水 徹

清水 徹(しみず とおる)

株式会社 マーケティング研究協会 コンサルティング・ サービス部部長

大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「販売代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「メーカー営業担当者のスキルアップ教育」「代理店経営者・経営後継者・営業担当者教育」などの実績がある。

【主な支援実績テーマ/業界】
○チャネル政策立案・展開(コンサルティング/教育)
オフィス設備、OA機器、医療材料、産業資材、建築材料、建築設備、計測装置、工業用部品、など

○エリアマーケティング戦略立案・展開(コンサルティング/教育)
建築設備、建築材料、情報関連機器、OA機器、化学品、エネルギー、搬送機器、ソフトウエア、など

○提案営業力強化(教育)
自動車関連部品、医療機器、建築設備、出版、情報システム、生産機械、産業用ガス、など

○営業マニュアル/営業ツール作成
業務用化粧品、OA機器、情報関連機器、など

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