代理店戦略=再考3=
7. その他 「広域型代理店」と「地域密着型代理店」の併存

2019.09.15

前回のコラムでは、代理店の特性分類E「課題獲得型代理店」について、代理店の戦略課題とそれに対応したメーカー政策をご紹介しました。今回は少し違う観点になりますが、「広域型代理店」と「地域密着型代理店」の併存について見ていきます。

1.「広域型代理店」と「地域密着型代理店」の併存のさせ方

全国展開をしていたり複数県に跨ってビジネスをおこなっている代理店(=「広域型代理店」)と、ある特定の地域や県でビジネスをおこなっている代理店(=「地域密着型代理店」)を併用しているメーカーは多いと思います。このような場合、メーカーとして気をつけなければならないことは、それぞれのタイプの代理店の役割を明確にするということです。

一つの考え方ですが、「地域密着型代理店」は展開地域の情報収集と需要開拓を主な役割とし、「広域型代理店」は面的サービスをカバーすることを主な役割とすることがあります。

「地域密着型代理店」の代表的な特性としては、地域人脈を活かしたビジネス獲得や、小回りのきく顧客対応が可能であることが挙げられます。ですので、地域の細かい需要をモレなく取り込むことに、その役割を持ってもらうということです。

一方「広域型代理店」の代表的な特性としては、広範囲にビジネス展開をしているということで顧客の事業拠点が広域に分散している場合に同一条件での対応が可能であることが挙げられます。ですので、比較的規模が大きく広域に展開している顧客への対応をしてもらうということです。

2.代理店間の"取引調整"がメーカーとしての課題

この2つのタイプの代理店を併用していくことの課題として、代理店間の取引調整が必ずといっていいほど挙がってきます。同一顧客からの引き合いを複数の代理店が獲得してきた場合のメーカーとしての対応が問われることになります。

ここで大切なことは、その調整・判断基準が代理店間でわかりやすく納得性のあるものであるということは必要です。以下にいくつかの対応例をご紹介したいと思います。

案件・物件を共有システムで管理・運用している場合、引き合い情報をその共有システムに先に登録した代理店が優先的に商権を持つという方法です。これは代理店に期待する役割の一つである「情報収集機能」を元としており、先に引き合い情報を登録したことで先行情報を収集したとみなし、代理店としての役割を果たしていると考える方法です。

また、顧客と代理店の関係の深さや過去の取引実績をもとに判断し、どちらの商権があるかを決める方法もあります。

そして、案件・物件内容の種類によって対応ができるか、過去に同種の案件・物件を手掛けた実績があるかといった、得手不得手による判断もあります。

一番多い対応方法としては、顧客の選択に任せるという方法があります。

いずれにしても、判断基準を明確にオープンにしておくことが大切と考えます。そうでなければ、一つの案件・物件に複数の代理店が関係し、無駄にルートが長くなる(多段階の流通構造になる)事象が発生してしまい、複雑難解な調整業務が発生したり、メーカー・代理店双方が利益を確保できなくなってしまいます。

3.「メーカー販社」と「独立系代理店」の併存方法もほぼ同じ

メーカーによっては営業部門を分離独立させ、資本関係のある販売会社(以下メーカー販社)としている企業があります。この場合、2つの流通構造が考えられます。

まず一つ目は、メーカー販社は基本的には卸業務をおこなっており、独立経営の代理店(以下独立系代理店)と縦の関係している場合です。この場合は特に取引調整は発生しません。

そして二つ目は、メーカー販社が直販と卸業務の双方をおこなっており、メーカー販社の直販部門と独立系代理店との間で、同一の顧客から引き合いを獲得し、後に調整が必要となる事があります。この場合の対応方法は、基本的には前述の「広域型代理店と地域密着型代理店の調整方法」と同じであると考えます。ただし企業の中には、直販部門と独立系代理店がバッティングした場合、その案件・物件は独立系代理店に任せて直販部門が手を引くという取り決めをしている場合もあります。

全7回にわたり、『代理店戦略=再考3=「代理店の特性分類別」代理店の戦略課題とメーカーの政策」』と題して、メーカーが代理店戦略を立案するときに考慮すべき代理店特性を分類別にご紹介してきました。皆様のお役に立てていただけましたら幸いです。

ぜひ皆様のビジネスが成功されることを祈願して最終回とさせていただきます。長きに渡りご精読ありがとうございました。

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プロフィール

清水 徹

清水 徹(しみず とおる)

株式会社 マーケティング研究協会 コンサルティング・ サービス部部長

大学卒業後、大手プレハブ住宅メーカーに営業職として入社。1997年にマーケティング研究協会に入社。入社後一貫して、「営業力」「マーケティング力」の強化提案を行う企画営業職として多くの業界と関わる。企画営業活動と同時にコンサルティング、営業教育にも携わり「販売代理店・特約店の活性化策立案」「販売代理店制度の再構築」「販売代理店・特約店の機能強化サポートメニュー開発」「メーカー営業担当者のスキルアップ教育」「代理店経営者・経営後継者・営業担当者教育」などの実績がある。

【主な支援実績テーマ/業界】
○チャネル政策立案・展開(コンサルティング/教育)
オフィス設備、OA機器、医療材料、産業資材、建築材料、建築設備、計測装置、工業用部品、など

○エリアマーケティング戦略立案・展開(コンサルティング/教育)
建築設備、建築材料、情報関連機器、OA機器、化学品、エネルギー、搬送機器、ソフトウエア、など

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自動車関連部品、医療機器、建築設備、出版、情報システム、生産機械、産業用ガス、など

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